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大阪地方裁判所 昭和53年(ワ)2号 判決

原告 甲野春子

右訴訟代理人弁護士 酒井信次

被告 福原電機株式会社

右代表者代表取締役 福原靖夫

被告 馬場勝

右両名訴訟代理人弁護士 木村保男

同 的場悠紀

同 川村俊雄

同 大槻守

同 松森彬

同 林信一

同 坂和章平

主文

被告らは各自、原告に対し一三七六万二二二五円およびうち一二九六万二二二五円に対する昭和五〇年一〇月一八日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを一〇分し、その四を原告の、その余を被告らの各負担とする。

この判決は原告勝訴の部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは各自、原告に対し二二五八万九〇二三円およびうち二一二八万九〇二三円に対する昭和五〇年一〇月一八日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行の宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

日時 昭和五〇年一〇月一七日午後一一時二〇分頃

場所 高槻市上田辺町一番二一八号先道路上(以下、本件事故現場という。)

加害車 普通貨物自動車(大阪四四り三三九三号)

右運転者 被告馬場勝(以下、被告馬場という。)

被害者 原告(当時加害車に同乗していた。)

態様 被告馬場が加害車を運転して本件事故現場を進行中、道路脇に設置されたガードレールに加害車を激突させた。

2  責任原因

(一) 運行供用者責任(自賠法三条)

被告福原電機株式会社(以下、被告会社という。)は、加害車を所有し、自己のために運行の用に供していた。

(二) 使用者責任(民法七一五条一項)

被告会社は、被告馬場を雇用し、同人が後記過失により本件事故を発生させた。

(三) 一般不法行為責任(民法七〇九条)

当時、本件事故現場は降雨のためスリップしやすい状況にあったから、自動車運転者としては、制限速度を遵守し前方を注視してハンドル操作を慎重にすべき注意義務があったのに、被告馬場は、右注意義務を怠り漫然と加害車を運転していた過失により、本件事故を発生させた。

3  損害

(一) 受傷、治療経過等

(1) 受傷

原告は、本件事故により右眼穿孔性眼外傷(外傷性前房出血、強角膜切創、外傷性白内障)、頸部捻挫および顔面挫滅創の各傷害(以下、本件傷害という。)を負った。

(2) 治療経過

そのため、原告は次のように入、通院治療を受けた。

入院 五九日間

昭和五〇年一〇月一七日から同月二〇日まで(みどりヶ丘病院)

同月二〇日から同年一二月一日まで(大阪医科大学付属病院)

昭和五二年四月一四日から同月二六日まで(大阪白壁整形外科)

通院 六三九日間(実治療日数九七日)

昭和五〇年一二月二日から昭和五二年九月一日まで(みどりヶ丘病院、大阪医科大学付属病院、大阪白壁整形外科、高橋医院)

(3) 後遺症

原告には、自賠法施行令別表後遺障害等級五級に該当する右眼失明(七級)、顔面醜状(七級)の各後遺障害が残存した。

(二) 治療関係費 一七四万〇〇八八円

(1) 治療費 一二三万〇七六〇円

大阪医科大学付属病院分 一七万五八七〇円

高橋医院分 四二九〇円

大阪白壁整形外科分 九七万七七〇〇円

岩崎クリニック分 五万八二〇〇円

みどりヶ丘病院分 一万四七〇〇円

(2) 入院雑費 四万〇六〇〇円

入院中一日七〇〇円の割合による五八日分

(3) 通院交通費 一万九四〇〇円

(4) コンタクトレンズ代 四四万九三二八円

原告は、本件傷害のため終生コンタクトレンズを必要とするようになったが、右レンズの単価は三万三〇〇〇円で耐用年数は二年であるところ、原告は本件事故当時三四才(昭和一六年八月一五日生)でありその余命年数は四〇・五八年であるから結局二〇個のレンズを必要とすると考えられる。そこで年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して本件事故時における右レンズ代を算出すると四四万九三二八円となる。

計算式 三万三〇〇〇×一三・六一六=四四万九三二八

(三) 逸失利益 二三五七万八三三五円

(1) 休業損害 三三〇万〇七五五円

原告は、前記のとおり事故当時三四才で、ホステスとして勤務し、事故前三か月間に合計四三万四三一〇円の収入を得ていたが、本件事故により、昭和五〇年一〇月一七日から昭和五二年九月一日まで六八四日間の休業を余儀なくされ、その間三三〇万〇七五五円の収入を失った。

計算式 四三万四三一〇÷九〇×六八四=三三〇万〇七五五

(2) 将来の逸失利益 二〇二七万七五八〇円

原告は前記後遺障害のため、その労働能力を七九パーセント喪失したものであるところ、原告の当時の職業は右のとおりホステスであったから逸失利益の算定にあたっては公正を担保するため昭和五〇年の賃金センサスを基礎とすることとし、その場合の就労可能年数は昭和五二年九月二日から二九年間と考えられるから、原告の将来の逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると二〇二七万七五八〇円となる。

計算式 (九万三八〇〇×一二+三三万〇四〇〇)×〇・七九×一七・六二九=二〇二七万七五八〇

(四) 慰藉料 六四五万七六〇〇円

原告の本件事故による慰藉料としては、入通院慰藉料一〇〇万円、後遺症慰藉料七〇七万二〇〇〇円の合計八〇七万二〇〇〇円が相当と考えられるが、原告は加害車のいわゆる好意同乗者であったから、その二割を減じた六四五万七六〇〇円を請求する。

(五) 弁護士費用 一三〇万円

4  損害の填補 一〇四八万七〇〇〇円

原告は次のとおり合計一〇四八万七〇〇〇円の支払を受けた。

(一) 自賠責保険金 八八四万円

(二) 被告らから 一六四万七〇〇〇円

5  本訴請求

よって請求の趣旨記載のとおりの判決(遅延損害金は民法所定の年五分の割合による。ただし、弁護士費用に対する遅延損害金は請求しない。)を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1、2は認める。

2  同3は争う。ただし、原告が、自賠責保険金の給付に際し自賠法施行令別表後遺障害等級五級の認定を受けたことは認める。

3  同4は認める。

三  被告らの主張

1  自賠法三条の「他人」性について

本件事故は、被告馬場の酒酔い運転によって発生したものであるところ、以下に述べる原告が加害車に同乗するに至った事情からすると、原告は単なる好意同乗者に止まらず積極的に本件事故発生につき責任を負うべき立場にあるというべきであるから、自賠法三条の「他人」には該当しない。すなわち、原告は、本件事故当日被告馬場が飲酒のため立寄ったアルバイトサロンに勤務するホステスであったから、このような職業にある者としては特に飲酒運転をさせないように配慮すべき職務上の注意義務があるのに、原告は被告馬場が自動車を運転することを知りながら飲酒を勧め、しかも同被告が酒酔いのため自動車を運転することが危険な状態であったにもかかわらずその運転を制止せず、かえって被告馬場の帰路とは違う方向に加害車で送って欲しいと依頼し敢えて危険を承知のうえで加害車に同乗したものである。

2  過失相殺

仮に右1の主張が認められないとしても、本件事故の発生については右1のような事情からすれば原告にも重大な過失があったというべきであるから、損害額の算定にあたっては五割以上の過失相殺もしくは好意同乗による減額がなされてしかるべきである。

3  弁済

被告らは、原告が自認している分以外に、次のとおり合計八八万一六〇〇円を支払った。

(一) 治療費 七八万三八七〇円

みどりヶ丘病院分 二二万五四八〇円

大阪医科大学付属病院分 五五万八三九〇円

(二) 入院付添費 六万四七三〇円

(三) コンタクトレンズ代 三万三〇〇〇円

四  被告らの主張に対する原告の認否および反論

1  被告らの主張1、2は争う。

原告が加害車に同乗するに至った事情は次のとおりである。すなわち、原告は当初タクシーで帰宅する予定であったが、事故当夜はかなり強い雨が降っていたため空車を拾えないかもしれないと考え、その場合には被告馬場に当時原告が子供を預けていた託児所まで送って欲しいと告げたところ、同被告はこれを承諾してくれた。そこで、原告はまず国鉄高槻駅前のタクシー乗り場に赴いたが、あいにく空車がなかったため、やむなく加害車に同乗させてもらったものである。事故当夜被告馬場は、午後九時頃から一一時頃までの間にビール中瓶一本と日本酒銚子二本を飲んだにすぎず(事実、事故直後のアルコール検知管の測定濃度も呼気一リットル中〇・三ミリグラムであって、同被告は酒気帯び運転に止まるものであった。)、歩行能力は正常で、服装態度にも何ら異常は認められなかった。

従って、原告に対しては好意同乗としてその慰藉料額を減額する以上に過失相殺等をなすのは相当でない。

2  同3は認める。

第三証拠《省略》

理由

第一事故の発生および責任原因

一  請求原因1および2の(一)、(三)の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  そして、後に第三で詳述するように、原告が自賠法三条の「他人」に該当しないとして被告会社の責任を否定することは相当でないから、被告らにはいずれも本件事故による原告の損害を賠償する責任があるといわなければならない。

第二損害

一  受傷、治療経過および後遺症の残存

1  《証拠省略》によると、原告が本件事故により本件傷害を受け、そのため請求原因3(一)(2)に記載されたとおりの入院治療を受けたほか、次のように通院治療を受けたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) 昭和五〇年一二月一日から同年七月一九日まで(実治療日数三九日)大阪医科大学付属病院

(二) 昭和五一年九月二七日から同年一〇月一日まで(同二日)みどりヶ丘病院

(三) 昭和五一年六月二四日から昭和五二年九月一日まで(同七日)大阪白壁整形外科

(四) 昭和五二年五月二〇日から同年七月三一日まで(同三九日)高橋医院

2  そして、《証拠省略》によると、原告には本件傷害のため後遺症として(一)右眼失明、左眼視力〇・六、(二)顔面醜状および(三)頸部から右肩にかけての疼痛および運動時痛の各症状が残存し、これらの症状は(一)につき昭和五一年一二月一三日頃、(二)につき昭和五三年一月六日頃、(三)につき昭和五二年七月三一日頃それぞれ固定したことが認められ(る。)《証拠判断省略》

二  治療関係費 二六一万〇八五一円

1  治療費 二一一万四九三〇円

《証拠省略》によると、原告は本件傷害の治療費として次のように合計一三三万一〇六〇円の支払を余儀なくされたことが認められる。

(一) 大阪医科大学付属病院分 一七万五八七〇円

(二) 大阪白壁整形外科分 一一〇万九一〇〇円

(三) 高橋医院分 四二九〇円

(四) 岩崎クリニック分 四万一八〇〇円

また、右の他被告らにおいて合計七八万三八七〇円(内訳、みどりヶ丘病院分二二万五四八〇円、大阪医科大学付属病院分五五万八三九〇円)の治療費を支払ったことは、後記のとおりである。

2  入院雑費 四万〇六〇〇円

原告が合計五八日間入院したことは、前記のとおりであり、右入院期間中一日七〇〇円の割合による合計四万〇六〇〇円の入院雑費を要したことは、経験則上これを認めることができる。

3  入院付添費 六万四七三〇円

被告らが、前記入院期間中の付添看護費用として六万四七三〇円を支払ったことは、後記のとおりであるところ、原告の受傷内容、程度等に照らすと、右は本件事故と相当因果関係ある損害と認められる。

4  通院交通費 一万七四〇〇円

弁論の全趣旨によると、原告は前記通院のため合計一万七四〇〇円(一日平均二〇〇円八七日分)を要したことが認められるところ、原告の住所地、前記各病院の所在地およびその間の交通機関等を考慮すると、右は本件事故と相当因果関係にある損害として被告らが支払うべきものである。

5  コンタクトレンズ代 三七万三一九一円

《証拠省略》によると、原告は本件傷害のため右眼球が白くなり、外観上醜状を呈するに至ったため、終生特殊なコンタクトレンズ(ソフトコンタクトレンズ)の装填を必要とするようになったこと、右レンズの単価は付属品を含め最低三万二九五〇円であり、耐用年数は約二年であること、原告は本件事故当時三四才であったことが認められ、一方原告の余命は昭和五〇年簡易生命表によると四四・五六年と考えられるから、原告は右眼失明の後遺症が固定した昭和五一年一二月一三日から将来にわたり少なくとも二〇個のコンタクトレンズを必要とすることになったというべきである。従って、その購入代金をホフマン式計算方法により年五分の割合による中間利息を控除して算出すると三七万三一九一円となる。

計算式 三万二九五〇×(一+〇・九〇九〇+〇・八三三三+〇・七六九二+〇・七一二四+〇・六六六六+〇・六二五〇+〇・五八八二+〇・五五五五+〇・五二六三+〇・五〇〇〇+〇・四七六一+〇・四五四五+〇・四三四七+〇・四一六六+〇・四〇〇〇+〇・三八四六+〇・三七〇三+〇・三五七一+〇・三四四八)=三七万三一九一

三  逸失利益 二二三三万〇二四九円

1  休業損害 三五五万五一五九円

《証拠省略》によると、原告は事故当時家庭の主婦として日常家事労働に従事するかたわらアルバイトサロン「シャレード」にホステスとして勤務し、事故前三か月間に合計四三万五八〇〇円の収入を得ていたことが認められるところ、前記第二の一で認定した本件傷害の内容、程度、入通院の状況、後遺症の内容、程度およびその固定時期等を合わせ考えれば、原告は本件事故により昭和五〇年一〇月一七日から昭和五一年一二月一三日までの四二三日間は一〇〇パーセント、同月一四日から昭和五三年一月六日までの三八九日間は八〇パーセントの休業を余儀なくされ、その間合計三五五万五一五九円の収入を失ったものというべきである。

計算式 四三万五八〇〇÷九〇×(四二三+三八九×〇・八)=三五五万五一五九

2  将来の逸失利益 一八七七万五〇九〇円

右に認定した原告の本件事故当時における年令、職業および収入等に照らすと、原告の家庭の主婦としての就労可能年数は昭和五三年一月七日から三一年間と考えられ、その間原告は少なくとも毎年一四五万六〇〇〇円(昭和五〇年賃金センサス第一巻第一表の年令別女子平均賃金)を下らない財産的利益を得ることができたものというべきところ、前記認定の後遺障害の部位程度によれば、原告はその労働能力を七〇パーセント喪失したものと認められるから、その将来の逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、一八七七万五〇九〇円となる。

計算式 (九万三八〇〇×一二+三三万〇四〇〇)×〇・七×一八・四二一四=一八七七万五〇九〇

四  慰藉料 七五〇万円

本件事故の態様、本件傷害の部位、程度、治療経過および後遺障害の内容、程度等諸般の事情を総合すると、原告の慰藉料額は七五〇万円が相当であると認められる。

第三過失相殺

一  《証拠省略》を総合すると次の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

1  原告は、本件事故の発生する約二年前からアルバイトサロン「シャレード」にホステスとして勤務していたが、昭和四九年頃から同店の客であった被告馬場と知り合うようになり、同人から指名されて何度かその接待にもあたっていた。

2  被告馬場は、本件事故日の以前からしばしば加害車を運転して右「シャレード」まで飲みに出かけていたが、その際は、特に飲み過ぎた時にはタクシーで帰宅していたが、それ程でもない場合には飲酒後そのまま加害車で帰宅するのが常であった。

3  本件事故当日も、被告馬場は加害車を運転し、午後九時頃右「シャレード」に赴いたのち、原告の接待を受けながら閉店の午後一一時頃まで飲酒した。原告は、日頃は自転車で通勤していたが、当日はたまたま夫が旅行中で不在であったため、二人の子供を勤務先の託児所に預けて出勤していたところから、その際、閉店後には託児所に預けた子供を迎えに行く必要があるから、タクシーで帰ろうかなあ、というような話をした。被告馬場は、多少寄道することにはなるが加害車で原告らを送ってやっても良いと考え、原告にその旨申し出て加害車を駐車してある場所を教えた。

4  被告馬場は、確たる約束をしたわけでもなかったので、半信半疑ではあったが、右のような申し出をした手前、閉店後、国鉄高槻駅近くの道路脇に加害車を駐車させながら原告を待つことにした。一方、原告は、当初タクシーで帰宅する予定であったが、被告馬場から前記のような申し出を受けていたため、空車がない場合には加害車に同乗させてもらおうと考え、まず高槻駅前のタクシー乗車口に赴いたところ、あいにく降雨で空車がなかったため、被告馬場の好意に甘えることとし、あらかじめ教えられていた加害車の駐車場所まで赴いて、加害車に同乗した。

5  なお、原告は本件事故当日まで被告馬場に送ってもらったことは一度もなく、加害車に同乗するのも当夜が初めてであった。

6  また、被告馬場の当夜の飲酒量は、ビール中瓶一本と日本酒銚子二本程度であり、本件事故直後に測定されたアルコール保有量は呼気一リットル中〇・三ミリグラムであった。

二  右認定の事実によれば、被告馬場は、原告の依頼によって初めて飲酒運転を決意するに至った訳ではなく、たまたま原告の話をきき、原告に対する同情ないしは好意から帰宅ついでに原告を同乗させたに過ぎないものというべきであるから、原告につき自賠法三条の「他人」性を否定するのは妥当でないといわなければならない。

しかしながら、自ら飲酒の接待にあたった客の運転する自動車に進んで同乗していた原告にも相当程度の不注意があったことは否定できず、損害の公平な分担という観点からすれば損害額の算定にあたっては原告の右不注意も斟酌する必要があり、前記認定の被告馬場の過失の態様等諸般の事情を考慮すると、過失相殺として原告の損害の二割五分を減ずるのが相当と認められる。

第四損害の填補

請求原因4および被告らの主張3の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

そうすると、原告の前記損害額から右填補分一一三六万八六〇〇円を差引くと、残損害額は一二九六万二二二五円となる。

第五弁護士費用

本件事案の内容、審理経過、請求額および認容額に照らすと、原告が被告らに対して本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は八〇万円とするのが相当と認められる。

第六結論

よって被告らは各自、原告に対し、一三七六万二二二五円およびうち弁護士費用を除く一二九六万二二二五円に対する本件不法行為の日の後である昭和五〇年一〇月一八日から支払済まで年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があり、原告の本訴請求は右の限度で正当であるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 富澤達 裁判官 柳澤昇 窪田もとむ)

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